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遮熱塗料は、太陽光に含まれる近赤外線を反射して、塗った面の温度上昇を抑える塗料です。外壁にも使えますが、日本塗料工業会の資料で効果の範囲が示されているのは、主に屋根です。
このページでは、遮熱塗料のしくみ、屋根用の規格と外壁用の規格の違い、断熱との違い、自治体の補助の例を整理します。根拠は、日本塗料工業会の資料と、武蔵村山市・佐世保市の補助制度です。
外壁での温度の下がり幅や、光熱費の削減額を示す公的な資料は、今回は確認できませんでした。そのため、効果の数字は書かず、契約前に確かめる点を中心にまとめています。
結論|外壁の遮熱塗料は「効く面と、効きにくい面」を分けて考える

遮熱塗料の効果は、屋根のように日ざしを真上から受ける面で説明されることが多い塗料です。外壁は垂直な面なので、方角や周囲の建物で日の当たり方が変わります。次の3点を押さえると、判断しやすくなります。
| 確認点 | 資料でわかること | わからないこと |
|---|---|---|
| しくみ | 近赤外線を反射して、塗膜と被塗物の温度上昇を抑える(日本塗料工業会) | 自宅の外壁で何℃下がるか |
| 外壁での効果 | 壁面は方角などの条件で効果が変わる。断熱材がある壁は効果が小さいと考えられる(同上) | 屋根と外壁の効果の差を示す数値 |
| 補助 | 自治体によっては、遮熱塗料の外壁塗装を補助の対象にしている | お住まいの市で使えるか(市ごとに違う) |
つまり、遮熱塗料は、塗れば涼しくなると言い切れる塗料ではありません。日の当たる面か、壁の中に断熱材があるか、色は何かを見て、期待する効果を決める必要があります。
遮熱塗料のしくみ|近赤外線を反射して表面温度の上昇を抑える

日本塗料工業会の資料は、高日射反射率塗料を、次のように説明しています。「太陽光に含まれる近赤外領域の光を高いレベルで反射することにより、塗膜ならびに被塗物の温度上昇を抑えることができる機能性塗料の一つ」で、「一般的には遮熱塗料と呼ばれることもあります」という説明です。
同じ資料は、太陽光のエネルギーの内訳を、紫外線が約3%、可視光線が約47%、赤外線が約50%としています。赤外線は物質に吸収されやすく、吸収された光エネルギーは熱に変わると説明しています。この熱になりやすい近赤外線の反射を、技術的に調整した塗料が遮熱塗料です。
| 用語 | 意味(日本塗料工業会の資料) |
|---|---|
| 日射反射率 | 太陽光の光エネルギーを、どのくらい反射するかを示す値 |
| 日射侵入比 | 室内に入ってくる熱の割合を表す数値。測定方法はJIS K 5603で決められている |
| 遮熱塗料 | 熱を遮蔽する塗料の総称。太陽光の下で高い効果を発揮するものが高日射反射率塗料 |
なお、この資料のうち解説資料は2011年7月の発行です。規格の状況は、その後に変わっている可能性があります。規格の細かい内容は、見積もりを取る塗料メーカーの最新の資料で確かめてください。
規格の違い|JIS K 5675は屋根用。外壁用の規格は資料で確認できなかった

遮熱塗料に関わる規格の名前に、JIS K 5675があります。日本塗料工業会のリーフレットは、「JIS K 5675『屋根用高日射反射率塗料』では、日射反射率や耐久性等の品質が規定されています」と書いています。名前のとおり、対象は屋根です。
今回読んだ2つの資料には、外壁用の高日射反射率塗料の規格は書かれていませんでした。外壁用の規格が「ない」と言い切れる資料ではありませんが、「ある」とも確認できませんでした。外壁に使う場合は、メーカーが外壁での使用を想定した製品かどうかを、カタログで確かめます。
リーフレットは、遮熱性能の表示として、星(★)の数で分ける方法も紹介しています。
| 表示 | 日射侵入比 | 侵入熱削減率 |
|---|---|---|
| ★ | 0.8〜0.6 | 20〜40% |
| ★★ | 0.6〜0.4 | 40〜60% |
| ★★★ | 0.4以下 | 60%以上 |
この表示は、商品カタログや容器に「日本塗料工業会 登録品」として記載されるとされています。リーフレットには、色合いが「濃い」「中間」「明るい」の区分もあります。登録品かどうか、星はいくつか、色の区分は何かを、見積書と一緒に出してもらうと比べやすくなります。
外壁と屋根の違い|壁面は方角と色と下地で効果が変わる

日本塗料工業会の解説資料には、屋根と壁面で、省エネ効果とヒートアイランド対策の効果を、◎○△で評価した表があります。表の脚注には、「壁面の場合は方角等の条件により異なります」と書かれています。
さらに、断熱材がある壁については、「断熱材により室内への熱侵入量が大きく抑えられるため、高日射反射率塗料の効果は小さいと考えられます」と説明しています。資料が例に挙げているのは、コンクリート壁面と金属壁面です。自宅の壁の中の断熱材の有無は、図面や現地調査で確かめます。
屋根と壁の効果の大きさを、数値で比べた記載は、2つの資料にはありませんでした。「外壁は屋根より効果が小さい」と数字で言える根拠は、今回は確認できなかったことになります。
色によって、遮熱塗料の選べる幅が変わる
解説資料は、塗料の日射反射率は色(明度)によって異なり、「同じ色相でも日射反射率の高い製品を高日射反射率塗料と呼んでいます」と説明しています。リーフレットは、黒色の一般塗料の日射侵入比をほぼ1.0とし、星が1つの遮熱塗料でも、室内に入る熱を20〜40%削減できると書いています。
ただし、この数値は資料の実験条件での値です。自宅の外壁にそのまま当てはまるとは限りません。外壁の色選びの全体は、外壁の色選びと色の失敗で、自治体の色彩基準とあわせて整理しています。
確認できなかったこと
塗ってから年数がたつと、汚れなどで日射反射率がどう変わるかは、2つの資料に記載がありませんでした。冬の暖房への影響は、リーフレットに「冬場に差はなかったものの、寒くもなりません」という実験結果の記載があるだけです。長く使った場合の効果は、メーカーの試験データを見て判断することになります。
遮熱と断熱の違い|反射する塗料と、熱を伝えにくくする工事は別もの

遮熱塗料は、日ざしを反射して表面の温度上昇を抑えるものです。一方、断熱は、壁や屋根に断熱材を入れて、熱を伝えにくくする工事です。塗装は外から見える塗膜の仕事で、壁の中の断熱材の代わりにはなりません。
| 項目 | 遮熱塗料 | 断熱(断熱材・断熱改修) |
|---|---|---|
| しくみ | 近赤外線を反射して、表面の温度上昇を抑える | 壁などに断熱材を入れて、熱の出入りを抑える |
| 工事 | 塗装工事の中で塗料を選ぶ | 外張りなど、塗装とは別の改修工事 |
| 補助 | 市の制度は自治体ごとに違う | 国・県・市の断熱改修の補助がある |
断熱リフォームの補助や、外張り断熱の仕様については、外壁の断熱リフォームの補助金で扱っています。外壁塗装だけでは、断熱改修の補助の対象にならない場合が多いため、先に見比べておくと、無駄な工事を避けられます。
自治体の補助|武蔵村山市と佐世保市で、対象の書き方が違う

遮熱塗料の外壁塗装を補助する自治体は、一部にあります。ここでは、条件の書き方が異なる2つの市を例にします。制度は年度ごとに変わるため、申請の前に、市の最新のページで確かめてください。
武蔵村山市|屋上・外壁・ベランダの遮熱性塗装
武蔵村山市の「遮熱性塗装工事・断熱工事」の補助ページでは、対象を「屋上、外壁、ベランダにおける、以下の塗料を使用した塗装工事」としています。対象の塗料は、「日本産業規格K5602に基づく日射反射率50%以上の塗料」、または「日本産業規格K5675に適合する遮熱塗料(屋上のみ)」です。
ここに、先ほどの規格の違いが表れています。屋根用のJIS K 5675は、屋上だけが対象です。外壁は、JIS K 5602による日射反射率が50%以上であることが条件になります。注記には、「立地又は構造上、遮熱の効果が期待できない部分は対象外」ともあります。
| 項目 | 武蔵村山市のページの記載 |
|---|---|
| 補助率・上限 | 対象工事部分の額の1/2。市内業者は上限5万円、市外業者は上限3万円 |
| 申請の順番 | 市への交付申請と交付決定を受けた日以降に、業者と工事契約を行う |
| 申請期間 | 令和8年4月1日から令和9年2月1日まで。予算の上限に達したら受付終了 |
| 工事の完了 | 令和9年2月28日までに完了するもの |
| 写真 | 施工前・施工中・施工後の撮影が必要 |
地域ページでは、武蔵村山市の外壁塗装助成金に、窓口や申請の流れをまとめています。
佐世保市|断熱・遮熱の効果がある塗料が「省エネルギー型」の対象
佐世保市の住宅性能向上リフォーム支援事業では、断熱や遮熱の効果がある塗料で外壁を塗装する工事が、「省エネルギー型」の対象になります。一般的な塗料での塗り替えは対象外で、効果がわかるカタログ等を申請書に添付します。補助は、追加募集の案内では、税抜の対象工事費の5分の1、最大20万円です。
着工は、交付決定通知書の発行日以降とされています。受付は先着順で、予算がなくなり次第終了します。残りの予算は週ごとに変わるため、佐世保市の外壁塗装助成金の確認日と、市のページの最新の数字を見比べてください。
2つの市からわかる共通点
どちらの市も、「遮熱塗料なら何でも対象」とはしていません。武蔵村山市は日射反射率やJIS規格、佐世保市は効果がわかるカタログと、性能を示す資料を求めています。そのため、補助を使うなら、塗料の製品名と性能資料を、契約の前にそろえることが前提になります。
見積もりと契約の前に確かめること|塗料名・性能・施工面を見積書に書いてもらう

遮熱塗料と一般の塗料の費用の差を示す公的な資料は、今回は確認できませんでした。金額で比べるより、次の項目が見積書に書かれているかを確かめます。
| 確認項目 | 見るところ |
|---|---|
| 塗料の製品名 | メーカー名・製品名・色番号が書かれているか |
| 性能の根拠 | 日射反射率や、日本塗料工業会の登録の有無が分かるカタログがあるか |
| 施工する面 | 屋根だけか、外壁も含むか。外壁なら何面か |
| 色 | 希望する色で、遮熱の性能が確保できる製品か |
| 補助の使い方 | 契約・着工の時期を、市の条件に合わせられるか |
見積書の見方は、外壁塗装の見積書の見方で、数量と単価の確かめ方は、外壁塗装の平米単価と坪単価で整理しています。複数社から見積もりを取る方法は、外壁塗装の見積もりの取り方も参考にしてください。
塗料が高性能でも、下地の補修や下塗りを省くと、塗膜は長持ちしません。遮熱塗料の見積もりでも、足場、洗浄、下地補修、塗り回数の項目が、他社と同じ条件でそろっているかを見ます。業者の選び方は、外壁塗装の業者の選び方にまとめています。
【関連】お住まいの地域の助成金・業者情報を調べる

遮熱塗料の補助があるかどうかは、市ごとに違います。まず、お住まいの都道府県のページで、市の制度の一覧を確かめてください。助成金は、契約前の申請が条件になることが多いため、見積もりを取る段階で、先に確認します。
助成金の全体像は、外壁塗装の助成金は使えるかにまとめています。国の制度の種類は、外壁塗装の助成金(国)で扱っています。
お住まいの地域の助成金・塗装業者を調べる
外壁塗装の助成金は市区町村ごとに条件も受付時期も違います。当サイトでは46都道府県・211市区町について、自治体の公式資料で制度を確かめ、気候の平年値・住宅統計・塗装工事業の許可業者とあわせて掲載しています。
- 北海道・東北:北海道(4市区町)/青森県(3市区町)/岩手県(1市区町)/宮城県(1市区町)/秋田県(1市区町)/山形県(1市区町)/福島県(3市区町)
- 関東:茨城県(12市区町)/栃木県(21市区町)/群馬県(10市区町)/埼玉県(18市区町)/千葉県(21市区町)/東京都(26市区町)/神奈川県(16市区町)
- 中部:新潟県(3市区町)/富山県(2市区町)/石川県(1市区町)/福井県(1市区町)/山梨県(1市区町)/長野県(2市区町)/岐阜県(1市区町)/静岡県(5市区町)/愛知県(8市区町)
- 近畿:三重県(3市区町)/滋賀県(1市区町)/京都府(2市区町)/大阪府(9市区町)/兵庫県(6市区町)/奈良県(1市区町)/和歌山県(1市区町)
- 中国・四国:鳥取県(1市区町)/島根県(1市区町)/岡山県(2市区町)/広島県(4市区町)/山口県(2市区町)/徳島県(1市区町)/香川県(1市区町)/愛媛県(2市区町)/高知県(1市区町)
- 九州・沖縄:福岡県(3市区町)/佐賀県(1市区町)/長崎県(2市区町)/熊本県(1市区町)/大分県(1市区町)/宮崎県(2市区町)/鹿児島県(1市区町)
よくある質問

遮熱塗料は、外壁に塗っても意味がありますか?
意味がないとは言えませんが、効果は条件で変わります。日本塗料工業会の資料は、壁面の場合は方角等の条件で異なるとし、断熱材がある壁では効果が小さいと考えられるとしています。屋根と比べた効果の数値は、今回の資料では確認できませんでした。
遮熱塗料と断熱塗料は、同じものですか?
同じとは言えません。遮熱塗料は、近赤外線を反射して表面の温度上昇を抑える塗料です。断熱は、断熱材などで熱を伝えにくくする工事を指すのが一般的です。塗料の性能の根拠は、カタログの数値や規格で確かめてください。
暗い色でも、遮熱塗料は選べますか?
リーフレットには、色合いが「濃い」製品の区分があり、黒に近い色にも配慮した規格とされています。ただ、色によって日射反射率は変わります。希望する色で、どのくらいの性能になるかは、メーカーの資料で確かめてください。
遮熱塗料を使うと、補助金は出ますか?
自治体によります。武蔵村山市や佐世保市のように、遮熱塗料を使う外壁塗装を対象にする市もありますが、対象の塗料の条件や、申請の順番は市ごとに違います。契約前に、市の担当課へ確認してください。
遮熱塗料の効果は、何年続きますか?
効果の続く年数を示す公的な資料は、今回は確認できませんでした。汚れによる日射反射率の変化も、2つの資料には記載がありません。メーカーの試験データや保証の内容を、見積もりのときに尋ねてください。
まとめ

外壁の遮熱塗料は、近赤外線を反射して表面の温度上昇を抑える塗料です。日本塗料工業会の資料では、壁面は方角などで効果が変わり、断熱材がある壁では効果が小さいと考えられるとされています。
JIS K 5675は屋根用の規格で、外壁用の規格は今回の資料で確認できませんでした。武蔵村山市の補助でも、屋上はJIS K 5675、外壁はJIS K 5602による日射反射率50%以上と、条件が分けられています。
契約の前に、塗料の製品名、性能を示すカタログ、施工する面、補助の申請の順番を確かめてください。効果の数字や費用の差は、公的な資料で確認できなかったため、見積もり時に業者へ根拠を尋ねるのが確実です。
出典・確認日
- 日本塗料工業会 リーフレット(遮熱塗料の説明。JIS K 5675、遮熱性能の星表示、日射侵入比。発行年月の表記なし)
https://toryo.or.jp/jp/anzen/reflect/reflect-leaflet-2025.pdf 確認日:2026-11-06 - 社団法人 日本塗料工業会 解説資料「高日射反射率塗料」(2011年7月。しくみ、日射反射率の定義、屋根と壁面の効果)
https://www.toryo.or.jp/jp/anzen/reflect/reflect-info2.pdf 確認日:2026-11-06 - 武蔵村山市「遮熱性塗装工事・断熱工事 補助金申請方法」(対象工事、補助率・上限、申請期間。ページに更新日の表記なし)
https://www.city.musashimurayama.lg.jp/kurashi/kankyou/1018539/1018617.html 確認日:2026-11-06

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